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(作者注・この物語は大きく声を出してお読み下さい。)
昔々ある所に、おじいさんとおばあさんが細々と住んでおりました。その日おばあさんが洗濯をしに川へ行くと、川上から大きな桃がドンブラコと流れてくるではありませんか。
さっそくおばあさんはそれを担いで帰り、包丁ふりかざして丁(ちょう)と切ってみて驚いた。
その桃の中には、玉の様な男の子が入っていたのでありました。男の子は『桃太郎』と名付けられ、すくすくと育っていきました。
さて、時はリニアモーターカーのごとく流れ去り、ある夏の日のことでありました。
「こら桃太郎! ちっとは勉強しなさい!」
「へん。ばばあ銭くれや」
「また遊びに行く気か。あの性悪(しょうわる)ザルもどうせ一緒やな」
「今日は単コロで鬼ヶ島行こう思てな」
それを聞いておばあさんは涙を流した。
「おお! やっとその気になってくれたか。親孝行な子じゃ」
おばあさんから銭をもらった桃太郎は、友人のサル、イヌ、キジと共に大型自動二輪にうちまたがり、一路、鬼ヶ島へと向かいました。
「げひひひひ。おほばばあが。鬼ヶ島ゆーてもキャバレーの鬼ヶ島やのに。でへへへへ」
「さすが桃兄ィ、頭ええワンワン」
「あたりきしゃりき、きんたまブリキよ。ところでサルよ、お前、前に行ったことあるらしいな」
「なも。むちむちのえー娘(こ)おまっせ、ダンナ」
などと話しているうちに『キャバレー・鬼ヶ島』に到着した。中に入ると、元々ハンサムで人気のある桃太郎を見て、店内は大騒ぎとなった。
「キャア桃さまっ。」
店のきれいどころが一斉にむらがる。丁度ステージではシャム猫トリオのきんたま踊りが始まって、場はますます盛り上がった。
その時、あたかも雷鳴のごとく叫びながら店に入って来たのは、本物の鬼ヶ島から社会見学に来ていた鬼供であった。
「よおよお、誰の許しがあって『鬼ヶ島』って名前使ってやがる」
「前にもちゃんと言っただろ。使うんなら使用料よこしな」
そこへオロオロと支配人が出て来て言った。
「ま、待っとぉくんなはれ。先月、使用料やゆーてうちのナンバーワンのアケミを連れてったやおまへんか」
「やかましい! 今月分がまだだ」
鬼供はわめいて、そこら中壊し出す。桃太郎はサルに聞いた。
「アケミゆーて、あの評判の美人か」
「そうでんがな。あのむちむちの娘(こ)でんがな」
そう聞いて、正義感の強い桃太郎は、すっくと立ち上がった。
「な、なんだこのガキは」
「やかましいわい節分のヌイグルミ」
「なにおっ」
鬼供は総勢十四名。それらが襲いかかる中、桃太郎はひらりひらりと身をかわし、ここと思えばまたあちら、京の五条の鬼ヶ島、大の男の鬼供は、手にした金棒振り回し、ブルンブルンと空を切る。桃太郎はグラスを抱え、あたかも手裏剣のごとく投げつければ、ゴツンゴツンと鬼供の、額にくだけてストライク。イヌはかみつき、キジは目を突く。サルはといえば鬼供の、きんたま握って引きずり回す。ホステス供はとふと見れば、逃げ出しもせず寄り固まり、やんややんやと声を出す。その声聞いて桃太郎、気力体力満ちあふれ、片っ端から鬼供を、バッタバッタとなぎ倒し、ついに鬼供ここにきて、ごめんなさいとあやまった。
「わーっ桃さま、つよーい。」
「へへっ、あたりきしゃりき、電動きんたまよ。おい鬼供、鬼ヶ島に案内せえ」
鬼供に連れられて鬼ヶ島へやって来た桃太郎一行を出迎えたのは、何と、アケミであった。
「あらー、桃さまぁ。来てくれたのね、アケミ、うれしーい。」
それから鬼供に言った。
「こら、ボケ鬼! はよ飯の仕度せんかい。ハラへっとるんじゃ。ほんでさっそく三条の『ホテル鬼ヶ島』行って使用料ふんだくってこい」
何とアケミはここて来て、鬼供をこき使ってボスになっていたのだ。
数日後、『ピンクサロン鬼ヶ島』に桃太郎がやって来て、こう言った。
「おい、誰の許可で『鬼ヶ島』いうとんねん。使用料はろてもらおか、おっさん」
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