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──清水由美の証言──
ええ、今朝早くです。寺の裏の墓地の所で・・・何か丸い、ボールみたいでした。あたしは最初、バレーボールかと思いました。
突然なんです。そのボールを持って突然消えたんです・・・あたし達の目の前で。
──谷江田明の証言──
はい。彼女の言った通り、突然でした。映画のトリックみたいに。
ええ、その日、彼は少しイライラしていたみたいでした。
──佐藤健一の証言──
はい、僕が見つけました。墓地の所です。拾い上げたら突然、佐竹先輩がひったくったんです。で、あっと思ったらもう消えていました。
──寺本圭子の証言──
佐竹君ですか? 私は彼と小学校が一緒でした。別に変わったところは無かったですよ。
認識番号313・6821βのQ5。私はオメガ星域担当タイムポリス第2特殊技術部のヤマダである。
今回タイムポリス・センターより命令のあった、当恒星ラー第3惑星ムーの過去時間軸における時空航行マシン『ドク』の回収は、意外な展開となっていた。
私は当ムーにおける標準時1988・0920に辿り着き、即座にこのR村の巡査になりすまし調査にあたったのだが、『ドク』は発見出来ず、探知機の故障かと点検したが異常はなかった。
翌日再び調査に行こうとした時、合宿に来ているという7人の学生が派出所にやって来たのだ。その話を聞くうちに、彼等の言う『ボール』が、私の探している『ドク』であることを確信した。
学生の一人が誤って始動させたに違いない。
私は彼等から詳しい事情を聞いた後、その寺へと向かった。しかし、何の痕跡もない。全く手掛りが得られなかった。
その時空航行マシンは、まだ試作段階のものであった。我々タイムポリスにおける最重要機密であった。それがまんまと盗み出されるとは、以前から言われているように、タイムポリス自体の防衛に弱点があることは間違いないだろう。
ともあれ、その『ドク』がここに現れたのだ。マシンが単独で出現したということは、盗み出した奴はすでに何らかの事故にあったのだろう。まあ自業自得というものだ。
もう一歩で発見できる。私の成すべきことはただ一つ。学生達が発見する前の時間へ再び時空航行するのだ。そして彼らが見つける前に回収しなければならない。
ブーンという低く鈍い音が頭の中で響いた。
その音はもう実際には鳴っていないのだろうが、しつこく頭から離れない。
「おい、まだ眠たいのか?」
ふと見ると、周りに学生達がいた。声をかけたのは谷江田明だ。
妙だ。この時間、まだ彼らは私と会っていないはずなのに。誰も不思議そうな顔をせず、笑っている。
後ろからポンと肩を叩かれ、振り返ると寺本圭子がニヤニヤしていた。
「ほら佐竹君、元気出して」
サタケ?──佐竹だと! 何ということだ! 私は時間的航行は成功したに違いないが、空間的にミスったのだ。──私は佐竹の“中”に入ってしまったのだ。佐竹の意識が何処へ行ったのか私には想像もつかないが、ともかく私は今、佐竹の体を使っているのだ。
その時、声がした。聞いたことのある声だ。
「おーい! ボールが落ちてるぞ。あとで遊ぼう」
見ると佐藤健一だ。墓場からボールを拾い上げている。
あれだ! 試作マシン『ドク』だ!!
奪い取るんだ! 今のままでは私は永久に佐竹のままだ。即座に時空航行し、私自身に戻らねば。それに、盗まれた『ドク』も回収出来る!
私は佐藤から『ドク』をもぎ取ると、すぐに始動させた。
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